「漁港の肉子ちゃん」CocomiのSTUDIO4℃ファン宣言に、さんま「親の顔が見たい」

「漁港の肉子ちゃん」完成報告会の様子。左から渡辺歩監督、稲垣来泉、明石家さんま、大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹。

明石家さんまが企画・プロデュースを務める劇場アニメ「漁港の肉子ちゃん」の完成報告会が、本日5月26日に東京・グランドハイアット東京で開催された。

イベントにはさんま、肉子ちゃん役の大竹しのぶ、キクコ役のCocomi、二宮役の花江夏樹、監督の渡辺歩が登壇。最初に一言挨拶を求められると、さんまは「5年越しに『漁港の肉子ちゃん』が完成しました。たぶん100点をいただいてもいい作品になっています」と自信を覗かせる。大竹は「なんで(肉子ちゃん役が)私なんだろうと最初は思ってたんですけど、原作も素敵で、出来上がった映画が本当に本当にあったかくて。『あ、こんないい映画を作る人だったんだ』ってびっくりしました(笑)」と冗談を飛ばした。

映画化のきっかけを尋ねられたさんまは「本当にすっごい長い話になるんですけどいいですか? 長いけど、そう面白くないんです」と話し始め、MCから「可能な限りかいつまんで教えてください」とお願いされる。さんまは「読んだ本が面白かったからアニメにした!」と端的に説明するも、“かいつまみすぎ”たために「時間をちゃんと取ったほうが面白いと思う」と横で聞いていた大竹がキッパリ。さんまは時間をとってもいいという許可をもらい、たまたま本屋に置いてあった原作者・西加奈子の「サラバ!」のページをめくったところ、自身の名前が入った文章が目に入ったことを回想する。そして西の作品は大阪弁での文章表現が巧みであること、原作の「漁港の肉子ちゃん」が面白かったことから、映画化に動き出したと明かした。

Cocomiは「(アニメーション制作を担当した)STUDIO4℃の作品がもともと好きなんです」コメント。さんまから「君、世渡りうまいね。親の顔が見たいわ」と言われながらも、「家族で試写を観たんですが、妹、おばあちゃん、母親も観終わったら目が充血していて。私も普段は映画を観て泣かないんですが、涙を流してしまいました」と振り返る。昨年双子が生まれた花江は「親の立場になってみて初めてわかる、肉子ちゃんの気持ちがありました」と述べ、「劇中で肉子ちゃんが物をバクバク食べるのですが、食べ物が全部すごくおいしそうで、観ているだけで楽しいと思いました。お腹が空いた状態ではあまり観ないほうがいいかもしれないです」と呼びかけた。

渡辺監督はアフレコ時について「ここまでの流れをご覧いただければわかるように、混乱はいたしましたが大変楽しい収録でした。アニメ収録の現場は過酷なことが多いですが、なぜか楽しい、不思議な空間でした」と述懐。Cocomiは関西弁と共通語が混ざるセリフに苦労したそうで「さんまさんに細かく丁寧に指導していただいた」と話すと、さんまは「フルートをやっているのもあって、音符で関西弁を覚えるんですよ」とCocomiの耳のよさに感心しきりだった。

Cocomiには関西弁をディレクションしたさんまだが、花江のアフレコには一度も立ち会うことがなかったそう。さんまは「俺も仕事してるからね! 忙しいから!」と言いながら、「花江さんと(トカゲ役)の下野(紘)さんとは完ぺきでした。(セリフの言い回しを)何パターンも考えて来ていただいていて感謝してます」と称賛した。

終盤には「漁港の肉子ちゃん」がアヌシー国際アニメーション映画祭2021で上映されることが発表に。主題歌「イメージの詩」を歌唱した10歳の子役・稲垣来泉も登場し、「今も夢のような気持ちですが、完成報告会に登壇できてうれしいです」と挨拶する。「イメージの詩」のオリジナルを歌う吉田拓郎からも稲垣のバージョンが絶賛されたことについて、稲垣は「歌のレッスンをしてもらった甲斐があったなと思います」と笑顔を見せた。

最後に渡辺監督は「肉子ちゃんは『普通が一番ええのんやで』と何回も言います。普通のよさを感じていただけたらと思う、普通の映画でございます」とコメント。さんまはスタッフグッズとしてマスクを500セット作ったと述べ、「ドラマでジャンパーを作るとなったら100枚くらい。でも今回数を聞いたら500だと。本当の人数はもっと多いんですが、予算の都合で500にしてもらって(笑)。500人以上がこの作品を一生懸命作ってくださったということに改めて感謝したいです。魂のこもった映画です」とアピールした。

「漁港の肉子ちゃん」は西の同名小説を原作に、漁港の船に住む共通点なしの母娘・肉子ちゃんとキクコを描くハートフルコメディ。6月11日に公開される。

(c)2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会